2006年06月25日

飾られちゃあたまらない

キャンパスと絵の具を持った男が路上に座っている。
手書きの看板には
「似顔絵書きます 1枚10ドル
(もしお気に召さなかった場合は5ドル差し上げます)」
と書いてあった。
さっそく男が1人、絵描きの前に座った。
「たいそうな自信だね。それじゃ1枚お願いしようか」
「へい」
早速、絵描きは描き始めるが、お世辞にも慣れた手つきとはいえない。
(なにを自惚れてこんな看板を出しているんだか。
 適当に難癖付けて5ドルいただいちまおう)
男はそう考えていた。
「ところで、君の周りには客から突き返された絵が1枚もないようだが、どうしてだい」
絵描きは筆や絵の具と格闘しながら答えた。
「へい。描きあげた絵は、みんなお買い上げいただいたもんで」
(ふむ。きっとこの絵描きは、物を売りつけるための口上が得意なんだな。
 そんなものにのせられるとは、馬鹿な客達だ)

それから30分後、手つきのわりには無難な出来栄えの絵が完成した。
だがおかしなことに、胸の部分にはありもしないナイフが突き刺さったように描かれている。
ここぞとばかりに難癖を付けようとした男は、
しかし片隅に書かれた文章に気付き、思いとどまった。

「胸にナイフは、マフィアにとってお尋ね者の印」

絵描きはにやっと笑って言った。
「お買い上げいただけますかい?」
男は黙って10ドルを支払った。
posted by t3ttt at 22:26| Comment(0) | TrackBack(0) | ( ゚∀゚)HAHAHA! | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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